十和田湖畔のある場所で偶然見つけた(出会った)のはちょうど目線の高さほどのまだ若いシウリザクラの芽吹きでした。
雪解けが進みブナやカエデなどの樹木が眠りから目覚めようとする頃、シウリザクラはいち早く目覚め、展葉しようと精いっぱい背伸びするかのように芽吹きます。また、芽出しのときは葉の色が緑色ではなく鮮やかな赤色で出てきます。これは紫外線から葉を守るためといわれていますが、いつまでも赤く色づいてる訳ではありません。成長と共に数日のうちにオレンジや黄色っぽく変化し次第に通常の葉の緑色へと変わっていきます。
春は植物の個性が色濃くあらわれる季節でもありますが、その中でもシウリザクラの芽吹きは美しく、気品を感じさせられます。とくに逆光で透かして見た時の輝きはうっとりするほど。葉の抵抗力がつくまでの術ですが、実に見事なデザイン美で楽しませてくれます。
村上 周平 / Murakami Shuhei
コメント