スプリングエフェメラル

春の花として、梅や桜、水仙が代表的ですが、奥入瀬渓流や十和田湖周辺ではスプリングエフェメラルの青や白のキクザキイチゲが最初に思い浮かびます。花のように見えますが実は花弁状の萼片です、見つけたらそっと裏側を確認してみましょう。萼片だということが一目でわかると思います。

スプリングエフェメラル(Spring ephemeral)というのは、春先に雪解け後に短期間出現し、美しい花を咲かせるものの総称です。Ephemeralは形容詞で、つかの間の、一時的な、はかないという意味と短命なという2つの意味なのだとか。春とともに目覚め、新しい命を蘇らせる様子が、まるで自然界が再生するかのように美しいことから「春の妖精」とも呼ばれることもあります。

奥入瀬渓流や十和田湖周辺では主にキクザキイチゲが紹介されることが多いですが、カタクリやフクジュソウ、アマナ、エンゴサク類などもスプリングエフェメラルの一種です。時期は多少前後するものの、キクザキイチゲと同じ頃に咲く花たちで、多くは落葉広葉樹林の林床を好みます。観察する場所が変われば春の妖精たちの顔ぶれも大分違いそうです。

春にしか出会えないので、毎年そろそろかな?と必ず探してしまいます。春に咲いた後は夏までの間に光合成を行い、地下の栄養貯蔵器官や種子に栄養分を蓄えます。そして、その後は地中で過ごし、次の春まで眠るように待機するといたライフサイクル。咲いたと思ったら気がついたらすでに姿を消している、そんな儚さを持ち合わせています。

木滝 奈央/Kitaki Nao

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