ニホンカモシカ

もう数年も前の出来事ですが、厳冬期の2月ごろ十和田湖畔の森を散策してた時にニホンカモシカに出会いました。
この日、空は曇り空。気温はそれなりに低くマイナスの気温で肌寒い気がしてました。朝方さらっと雪が降りうっすらと新雪が積もっていて森はとても綺麗で、一人ということもありこういう日はいつも以上にのんびりペースで歩いていました。

ぶらぶらと歩いていると新雪の上にいろんな痕跡が見つかります。最初に見つけたのは、野鳥やムササビたちが散らかした冬芽や小枝の食痕です。ブナの木の周辺に食べ散らかした跡がたくさんあり、丸い小粒の糞も散らばっていました。また、そこからさほど離れもせずにリスとテンの足跡がありました。追いかけっこかな?と思いつつ足跡を追っていくと、今度はカモシカの足跡が見つかりました。しかも、まだ新しくつい先ほどここ通ったような痕跡だったので、少し自分の気分が高まります。あたりを見回したが見当たらないので、焦らずそのままカモシカの足跡を追っていきます。

起伏した地形を少し歩いた先に、主がいました。20メートルくらい離れたところでしょうか。
一瞬、私の方が早く気づいたような気がしましたが、カモシカもお尻を向けたまま顔をこちらに向けたお決まりの姿勢で両者の睨み合いが続きます。高揚感を抑えながら、刺激しないようゆっくりとした動作でカメラをセットして、まずは一枚パシャリ。画面を確認するものの、遠いし、枝が邪魔で構図も良くない。
カモシカは食事をしていた模様で、私に気にしながらまた食事をはじめたので、写真を撮りながらタイミングを測り移動します。距離を保つために大回りをしながら正面に回ることに成功。

その時に撮った写真がこの掲載写真です。多少望遠が効くカメラだったので少し離れたところから撮ることができました。しばらくカメラ越しにカモシカを観察することができたのですが、咀嚼しながらこちらを睨みつけているその様に、畏怖を感じたことを覚えています。
「これ以上近づいてはいけない」、そう思わせる野生との距離感を感じとったのか、単純に私が恐怖に駆られたのかわかりませんが、身体中に巡ったこの感覚は今でも忘れません。私にとって非常に貴重な経験となりました。

そういえば、昔、カモシカはトチの冬芽は食べないと聞いたことがありましたが、十和田湖周辺のカモシカはわりと食べている痕跡が見つかります。確かに私がカモシカだったら、あのトチの冬芽はボリュームはあるけど、粘性があって苦そうだしちょっと食べるのはヤダなと思います。けど、いろんな人がいるようにカモシカの世界にも偏食好きがいるのかもしれません。また、単に生きるために必要だから食べてるだけかもしれません。どちらにせよ、カモシカはトチの冬芽も食すということが調査してわかりました。


村上 周平 / Murakami Shuhei

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