足元の色鮮やかな秋

紅葉はまだかと焦る気持ちの中、秋に道端で出会ったノブドウの実。その鮮やかな青や紫の実に目を奪われました。単色にとどまらず、白っぽいものやピンク、グラデーションがかかった青い色まで、まるで宝石のような色彩が広がっていました。

この植物はつる性の落葉低木で、特徴的なジグザグした茎が目を引きます。空き地や河原、里山などどこにでも生えていて、意外とたくましい印象を受けました。しかし、ノブドウなのに山ぶどうやエビヅルと違い食べられません。「野に生えるブドウ」でノブドウと呼ばれますが、実の中にはブドウタマバエやブドウガリバチという小さな幼虫が寄生して、虫こぶを作るのでいびつな形をしています。想像するとちょっとゾッとしますね。

ノブドウは昔から「とち水」という打撲や火傷などに効く民間薬としても用いられていました。トチの実にノブドウやキハダ、ほおずきなど各家庭で入れるものはさまざまです。

さらに、ノブドウは煮出して染色の材料としても活用されることもあります。鉄媒染で染めるとすっきりとした灰色に染まり、どんな色にも合わせやすい使い勝手のいい色です。(鉄媒染とは鉄分を含んだ媒染剤を媒介して、染着、発色させる方法です。)

ひとつの植物ですがいろんな使われ方をするノブドウ。比較的どこにでもある材料なので幅広く活用されてきたのかもしれません。虫のことはさておき、私はもっぱら綺麗な色の実を見つけては写真を撮って喜んでいます。前回書いたブログの緑青腐菌然り、私はどうやら美しい色に惹かれるようです。

木滝 奈央/Kitaki Nao  

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