カヌーとカヤックの違い

ツアー中によくゲストから「カヌーとカヤックの違いはなんですか?」と聞かれることがあります。
とても良い質問だなと、よくぞ聞いてくださいましたといつも思います。
一般的にカヌーはカナディアンカヌーとカヤックのふたつに大別されますが、
現在のレクレーションでよく使用されているカヌーとカヤックの違いは漕ぐ道具を見ると分かりやすいと思います。

カヌーはシングルブレードパドルで片側で漕ぐのに対し、カヤックはダブルブレードパドルで両方で漕ぎます。
これが最もわかりやすい見分け方だと思います。
また、艇種の違いですが、カヌーはオープンデッキタイプで艇内が開放されているのに対し、カヤックはクローズドデッキタイプで艇内が密閉されています。こちらも見分けるポイントになります。
画像に写っているのはカヌー(チラ見程度ですが)とシーカヤックになります。

さて、ここでもう少し掘りさげて両者の違いをみていきたいと思います。
まずは、カヌーの定義からですが、古くから世界各地でその環境と生活様式に合わせて愛用されてきたカヌーを定義付けするのはとても難しいですが、「先端が尖ったパドル(櫂)で漕ぐ舟」となり、カヤックも含めた総称になります。

次に語源の由来についてですが。

カヌー(CANOE)の語源はCANOA(カノア、カノー)で、中部アメリカ・カリブ諸島(西インド諸島)の先の尖った軽い小舟をさすスペイン語に由来するそうです。
カナディアンカヌーは北米インディアンの移動及び輸送手段として生まれ、樺の木の表皮を使い木の枠の外側に貼り付けた「バーチ・バーク・カヌー(Birch-Bark Canoe)」で作らていました。樹皮でできた船体は水をはじき、一定の弾力がある。弾力はカヌーにとって重要な要素で、川を進んでいると浅瀬に出くわすことがある。その際、船体を川底にこすっても、弾力があれば大きなダメージを受けることなくやり過ごせる、そして、材料は周囲にある自然の中で調達できるから多少損傷しても自分で修理できるなどの利点があります。
ちなみに日本でも大和時代(古墳時代4〜7世紀ごろ)に建造された船の名前として「かるの」「かれの」と呼ばれるものがあったとされています。どういう船なのか?関係性も知りたいところです。

カヤック(KAYAK)の語源はQUAJA(クアヤ)で、グリーンランド地方のイヌイット族が狩猟目的で使用していたダブルブレードパドルで漕がれた船足の速い「獣皮船」に由来するそうです。狩猟目的のため操作性にも富み、コックピットには防水カバーが装着されており、冷たい海で転覆しても漂流せず復元させる(ロール)技術を持っていて「男の舟」として使用されていました。
このQUAJA(クアヤ)に対して、主に運搬用として使用されていたのがオープンデッキタイプの「皮舟」でUMIAK(ウミアク:女の舟)と呼ばれ、一人乗りから大型のものまで様々な舟があるそうです。

このように両者のルーツを辿ると生まれた環境がはっきりと違うことに気づきます。
カヌーは周りに森がある環境で主に移動用として作られ、カヤックは海と氷に囲まれた環境で主に狩猟用として作られています。
ということで、カヌーとカヤックの両者の違いのルーツはその地域で材料が確保できる「環境」と「用途」にあったと言えるのではないかと思います。

村上 周平 / Murakami Shuhei





関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


TOP
予約する アクセス お問合せ