田んぼの水

青森県の旧十和田湖町(現在の十和田市)では、ゴールデンウィークの頃から田んぼに水を貯め始めます。陽の光が輝く田植え前の水張りの風景は、十和田市内から十和田湖・奥入瀬渓流に向かう途中で見ることができます。

私の出身地である茨城県は関東いちの米どころで、田んぼに囲まれて育ちましたが、青森県の水田の雰囲気は異なっているように感じます。山と言えば筑波山で、湖と言えば霞ヶ浦(霞ヶ浦、北浦、常陸利根川を全部ふくめた湖を霞ヶ浦と呼びます)が有名です。関東平野に筑波山がぽつんと見えるだけで、水は平らな所に流れているという印象でした。

(ちなみに北浦には鰐川という川も含んでいて、子供の頃からあの茶色い川にはワニがいると信じていましたが、名前だけで実際にはいませんでした。)

地元と違う印象を受けるのは、山々から水が流れてくるのを目で追えるからだと考えます。雨や雪解け水が小さな流れとなって谷筋を流れ、外輪山のブナ林に蓄えられ、そして十和田湖に注がれます。そして、奥入瀬渓流(奥入瀬川)を流れ、田畑で灌漑用水として利用されています。旧十和田湖町で美味しいお米や野菜が取れるのは、水が栄養豊富だからだろうと感じます。

また、奥入瀬川から引き込まれる稲生川用水は灌漑用水だけではなく、生活用水、防火用水として町中の水路に流れ、十和田市民の暮らしに密接に関わっています。稲生川用水は東へ東へと走り十和田市、六戸町、三沢市、おいらせ町を抜け太平洋まで流れていきます。

私は車を走らせながら、壮大な水の循環の中の一部であるこの田植え前の風景を眺めるのが好きです。晴れた日は水面が青く、夕暮れには日の入りの色に染まる美しさも。今日は奥入瀬川を流れる水が多い少ないを見ながら十和田湖へ出勤し、帰宅してから美味しいお米を食べるのを楽しみにしています。

木滝 奈央/Kitaki Nao

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