宇樽部キャンプ場5年間の整備

宇樽部キャンプ場で働き始めて、早いもので5年が経ちました。当初は手つかずの自然が多く、草木が茂り、テントを張る場所も今に比べてずっと少なかったのを覚えています。初めてここに足を踏み入れた時は、目の前に広がる十和田湖の絶景に感動しつつも、キャンプ場としては少し荒れている印象がありました。

それから、自然の魅力はそのままに、快適に過ごせる場所を目指して少しずつキャンプ場の整備を始めました。数年後を見据えて地面が平らになるよう枯葉や落枝を寄せ、テントサイトを作っていきました。

自然にできた地形を活かし、最小限の草刈りをしながら隣のサイトとの間に自然のブッシュを残してプライベート感を保つよう工夫しました。その結果、キャンプブームの影響もあったのか、自然のままの風景を楽しめるキャンプ場として、多くの方から高く評価されるようになりました。

しかし、キャンプ場の利用者が増える一方で、課題も出てきています。特に、数年前の大雨をきっかけに始まった表土の流出は頭を悩ませています。車両の乗り入れ増加も相まって、土壌の状態が悪化し、砂利を敷いてみてもほとんどが線状降水帯によって流されてしまい、長くは持ちませんでした。

そこで、自然の力を借りた整備方法に切り替え、伐採した丸太や枯れ枝(ボサ)を利用して土の流出を防ぐ試みを始めました。砂利よりもずっと効果があることが1年後に判明。この作業は秋までに済ませ、春の雪解け水が流れることを考慮して行いました。

場内に設置してある細めの丸太は数年後を見据えて配置したものです。しかし、人が持ち運べる大きさなので、お客様に動かされてしまうことがあり、少し困っています。この丸太は自然界で見られる「倒木更新」の効果を期待しています。倒木が自然に腐敗する過程で、苔が生え、さらに環境に適した植物がそこから育ち始め、環境に変化が起こり近くの植物の成長が促進される―そんな自然の再生プロセスを利用しています。

小さな木々も成長すれば湖畔の土砂流出を防ぐ力となります。彼らにとってもなかなかハードな環境なので、どうかその成長を見守っていただけると嬉しいです。どれも時間のかかる方法ですが自然が持つ再生能力に期待しています。

この5年間の整備を振り返ると、まだまだ学ぶべきことが多いと感じています。様々な方からのアドバイスを参考にしながら、これからもキャンプ場の利用と自然保護のバランスを大切にし、持続可能な環境作りに取り組んでいきたいと考えています。

木滝 奈央/Kitaki Nao

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